浴室のバリアフリーを考える~お風呂をバリアフリー化させるポイント~
2021.11.12更新
ゆったりとしたくつろぎ空間の1つに、浴室が挙げられます。
そんなくつろぎの場である浴槽も床が水で濡れていたり、浴槽に入りづらかったりすると事故につながってしまうことも。
実は、自宅の中で起こる事故の3割が浴室という研究結果もあります。
今回は、そんな危険を最小限に抑えるためにお風呂をバリアフリー化させるポイントをいくつか紹介していきます。
お風呂をバリアフリー化にして、安心かつ快適なバスタイムを満喫しましょう。
浴室のバリアフリーリフォームには種類がある
浴室をバリアフリーにリフォームするには、いくつか種類が挙げられます。
・出入りしやすい浴槽
・手すりを設ける
・浴室用の車いすを設ける
・バスリフトを設ける
・出入り口のスペースを広くする
・出入り口の段差をなくす
・水はけが良くて滑りにくい床材にする
・緊急時用に浴室通報装置の設置
全てをリフォームの対象にするとなるとかなりの費用が発生するので、自分が重要視する箇所をピックアップしてリフォームしましょう。
出入りしやすい浴槽
浴室内でよくバリアフリー化されているのが、浴槽。
一般的な浴槽が約60cmなため、高齢者や身体が不自由な人にとってこの高さは負担になりやすいといわれています。
シャワーを浴びた後の床は濡れて滑りやすくなっているので、浴槽に入る時に足をあげた際にバランスを崩してしまって転倒に繋がる可能性があります。
この問題を解決するには、体格に合った浴槽に変更するのが得策です。
膝下の長さが浴槽の深さの理想といわれているので、平均約40cmが出入りしやすい浴槽となります。
おすすめは「半埋め込み式」と呼ばれる、浴槽の1/3を床に埋め込んだ設置方法。
浴槽への出入りがしやすくなったので、転倒しづらくなり安全性をより高めた形です。
仮に大規模なリフォームが難しいという場合は、縁の広い浴槽にしたり浴槽の深さを浅くして傾斜を取り入れたものに交換することも可能。
快適性と安全性の両方を兼ね備えた、使い勝手の良い浴槽にしましょう。
手すりを設ける
浴槽への出入りの仕方は人それぞれなので、あると便利な手すりを設置するのもおすすめ。
設置場所も異なるため、利用する方の動作に合わせて配置するのが重要です。
手すりを設けた人の多くが、浴槽に入る時に使う手すりと上がる時に使う手すりの2ヶ所に設置しているとのこと。
設置場所 | 目的 |
出入り口付近 | 転倒の軽減 |
シャワー横 | 立ち座りなどの動作をサポート |
上記のように、目的を決めて手すりを設置している人も多い傾向にあります。
浴室用の車いすを設ける
シャワーキャリーと呼ばれる浴室用の車いすを設ける人も少なくありません。
浴室用の車いすは、浴槽への出入り以外座ったまま動かすことが可能です。
スムーズに移動が可能なので、浴槽の真横に寄せるだけで座った状態で足を浴槽に入れられます。
バスリフトを設ける
リフォーム時に取り付けるものではありませんが、バスリフトは自身で購入して使用する介護器具扱いとなります。
浴槽への乗降が電動で行うことが可能な上に、施工業者に依頼する必要がないので余計な費用がかからないのが特徴。
・長時間の入浴は疲れる
・浴槽から立ち上がれない
・介助する側の負担を軽減したい
そんな人はバスリフトの導入を検討することをおすすめします。
出入り口のスペースを広くする
浴室のドアを改善することで、出入り口のスペースを広くすることが可能です。
ドアのタイプは大きく分けて「引き戸」と「内開き」と「折れ戸」の3種類存在しています。
バリアフリー化にするなら、内外問わずいつでも簡単に開閉できる「引き戸」が最適です。
引き戸なら車いすの人でもスムーズに出入りが可能な上に、ドアの開閉にムダな力を使う必要がないのが魅力となっております。
折れ戸もおすすめですが、引き戸と異なり開閉の際に指を挟んでしまう可能性が考えられるので注意が必要です。
出入り口の段差をなくす
水が浴室外に出るのを防ぐために、出入り口に段差を設けているところが多い傾向にあります。
段差があると転倒のリスクがあるので、段差を完全になくすか2cm以内にするかのどちらかがおすすめです。
段差を完全になくしたい場合は、新しく排水機能を設置する必要があります。
水はけが良くて滑りにくい床材にする
水はけが不十分だと、滑って転倒してしまう可能性が考えられます。
安全性を考慮するなら水はけが良く、なおかつ滑りにくい加工が施されている床材にするのがおすすめ。
人によっては床の急激な温度差のせいでヒートショックを起こす人も少なくありません。
水はけが良くて滑りにくい材質に加えて、浴室暖房機などで断熱効果もプラスしてあげると大きなケガへの回避が見込めます。
緊急時用に浴室通報装置の設置
こちらは介助する側の負担を軽減するためのものですが、入浴中も付きっきりなのは介助される側も負担になりやすいもの。
緊急時にすぐ駆けつけられるようにしておけば、入浴中の見守りが不要になります。
浴室通報装置にはさまざまなタイプが存在しており、紐を引くタイプのものやボタンを押すタイプのものまで種類は豊富です。
浴室通報装置を導入する際は、操作しやすいものを選ぶことをおすすめします。
浴室・お風呂のバリアフリー化する際のポイント
浴室全体のバリアフリー化もいいですが、予算の都合などで紹介した全ての箇所をリフォームするのはなかなか難しいという人も多いはず。
手すりや浴槽など、バリアフリー化したい箇所をピックアップしてリフォームするのも可能です。
ですが単体でのリフォームを行うと、浴室のバランスを失ってしまい、かえって使いにくくなることも。
リフォーム前は、ある程度全体のイメージを固めてから行うことをおすすめします。
浴室のバリアフリー化が求められる理由
バリアフリーは、生活する上で支障となる弊害を取り除くことを指しています。
より良いバスタイムを満喫するためのバリアフリー化ですので、危険性や身体への負担を減らしましょう。
今は必要だと感じないバリアフリーでも、年齢を重ねていくに連れて不便だと感じる部分が見つかってくる可能性もあります。
小さな子供入る家庭だと、子供が滑ってケガをする恐れもあるのでこの機会にバリアフリー化にするのもおすすめです。
バリアフリー化されていない浴室に潜む危険
高齢者や身体が不自由な人は、特に浴室に潜む危険を感じやすくなります。
手すりがない状態で浴槽の出入りをした際に誤って転倒してしまったり、浴槽が大き過ぎたりするせいで身体が沈み過ぎてしまうなど常に危険と隣合わせです。
バリアフリー化にするだけでこれらの危険を大幅に回避できる見込みがあるので、特に高齢者や身体が不自由な人は検討することをおすすめします。
介護する側・される側どちらの視点も重要
介護される側だけに意識を向けがちですが、介護する側も利用するのでしっかりと配慮することが重要です。
介護する際に不便なくスムーズにサポートできるかどうかはとても重要で、リフォームを検討する箇所が介護する側の負担になるようなら見直しが必要になります。
特に浴室だと介護する側はさまざまな体勢を取ることが多いので、双方にとって安全面を考慮した設計にする必要があるのです。
利用しやすく、なおかつ安全であることがリフォームの第一条件となります。
バリアフリー化が必要な浴室の箇所
浴室のバリアフリーは、高齢者の利用を考えるといくつかリフォームをした方が良い箇所が見つかります。
浴室のバリアフリー化におすすめな箇所は種類でも紹介しましたが、ここではリフォームが推奨されている箇所を紹介していきます。
出入口の段差
出入り口の段差は2cm以内にするか、完全に段差をなくすことをおすすめします。
つまずくリスクを少しでも抑えることで、転倒などケガに繋がるのを防止することが可能です。
脱衣所への浸水を防止するために、リフォームの際は段差部分に排水機能を設ける必要があります。
浴槽
リフォーム前の浴槽は、一般的に深さ60cmほどだといわれています。
生活する上で支障をきたしていない人なら問題なく利用できる深さですが、高齢者や身体が不自由な人からすると浴槽への出入りが困難だと感じます。
浴槽のリフォームを検討している人は、出入りがしやすい深さ40cm程がおすすめ。
できる限り洗い場と浴槽の段差を小さくするのが好ましいです。
手すりなど支えの設置
浴槽に入る時や、浴槽から出る際など何かと支えを設けるのはとても重要になります。
浴室に最低でも1箇所も手すりを設けることで、大幅な安全性の向上が期待できます。
実際に現段階でここに手すりがあったらいいなと思う箇所に設置しましょう。
手すりの位置や設置数は、体格や動く範囲などから決めるのがおすすめです。
床の転倒防止
床がタイルになっていたり、水はけがあまり良くなかったりするのであれば床のリフォームを検討しましょう。
浴室の床が濡れていると滑って転倒してしまう可能性が高いので非常に危険です。
浴室事故の多くが転倒なので、できる限り安全面を考慮して床材を変更することをおすすめします。
・水はけが良い床材
・滑りにくい加工が施された床材
・衝撃を吸収してくれる柔らかい床材
上記3つが浴室リフォームに人気の床材なので、ぜひ検討してみてください。
ヒートショック防止
心臓が弱い方が特に注意して欲しいのが、このヒートショックという症状。
65歳以上の高齢者に多く、暖かい室内から寒い室内に移動した際に急激な温度変化によってヒートショックを引き起こしてしまう人が多い傾向にあります。
ヒートショックを防止するためには、浴室暖房機などを取り付けるのもおすすめ。
床が冷たいだけでヒートショックを起こしてしまう可能性も考えられるので、断熱面も考慮してあげると大きなケガへの回避が見込めます。
扉にはガラスを使わない
デザイン性が良いためガラスを使用した浴室扉は非常に多い傾向にありますが、万が一の転倒に備えて扉にはガラスを使わない方が無難。
転倒時にドアにぶつかったり、強く押したりした際にガラスが割れて大けがに繋がります。
浴室の扉は、割れにくくなおかつ引き戸など開閉に不要な力を使う必要がないものを選ぶのが最適です。
非常ブザーの設置
常に付き添っての入浴は介護する側もされる側も負担になりやすいので、万が一の時にいつでも呼べるよう非常ブザー(浴室通報装置)の設置がおすすめです。
非常ブザーのタイプはさまざまですから、操作感など使い勝手が良いものを選びましょう。
まとめ
浴室のリフォームを検討する際は、ポイントごとに比較をしてから工事を行うようにしましょう。
例えば、元々設置されている使い慣れた手すりを違う箇所に設置したせいで、ついいつもの癖で手すりを掴もうとしたら身体のバランスを崩して転倒ということもあり得ます。
日常生活で常日頃から不便だと感じるような箇所は、リフォームを検討するのが良いでしょう。
ポイントごとの比較はムダなコストを削減することにも繋がるので、じっくりと検討した上で浴室のバリアフリーを考えてみてはいかがでしょうか?
★こちらも参考にしてみてください→ https://www.shonan-woodgarden.jp/blog/reform/2700/