エクステリアのカラーコーディネートを考える
2021.04.30更新
家を「人の体」とみると、エクステリアは住まいを着飾る「ファッション」のような存在。インテリアと同じように、エクステリアにもカラーコーディネートがとても重要です。
建物とのバランスやアクセントカラーの使い方、景観との調和なども踏まえ、おしゃれに魅せるエクステリアのカラーコーディネートについて考えてみましょう。
おしゃれなエクステリアは「統一感」がポイント
エクステリアのカラーコーディネートでもっとも大切な要素は、「統一感」を意識することだといわれます。これは、ファッションやインテリアにも共通することです。同系色で統一したほうが落ち着いて生活できるエクステリアになりやすく、また街の雰囲気にも調和するといわれます。
逆に、「赤と緑」「オレンジと青」のように相反する色のバランスを無視したエクステリアは、変に目立って落ち着かないデザインになりやすいのです。そんなカラーコーディネートの失敗例を、いくつか紹介しましょう。
レンガを使ったカラーコーディネートの失敗例
エクステリアの素材として、よく使われる「レンガ」。高級感を演出する素材として重宝さられるほか、その暖色系の色から温かみを感じることも人気があります。
しかし、どんな家にもレンガが合うとは限りません。たとえば、外観が白で統一された家の塀をレンガで囲うと、赤い色が際立ち浮いてしまいます。赤は彩度の強い色ですから、シンプルな住まいに多用するとバランスが悪く見えるのです。
家の外壁が白なら、塀の色も白系に揃えることで、統一感が生まれ美しいエクステリアに魅せられます。
アプローチ階段のカラーコーディネートの失敗例
門柱から玄関までのあいだに高低差がある場合、白系のタイルでアプローチ階段を設けたいと思われる方もいらっしゃるでしょう。白は膨張色ともいわれ、広く見せる視覚的効果があるとされます。そのため、アプローチ階段には白系のタイルが使われることが多いのです。
しかし、外壁や塀に彩度の強い色を使った家だと、白い階段が変に目立ちバランスの悪いエクステリアに見えることがあります。この場合も、まわりの配色と同系色のタイルにすることで、調和の取れたカラーコーディネートに仕上がるのです。
カラーコーディネートは3つの配色が肝
ファッションやインテリアでも言われることですが、おしゃれに魅せるカラーコーディネートには「3つの色のバランスが重要」だといわれます。3つの色とは、「ベースカラー」「サブカラー」「アクセントカラー」です。
ベースカラーは全体に使われる基調の色のこと。それを補完する同系色の色がサブカラーです。そして、ワンポイントで全体を際立たせる補色がアクセントカラーになります。例えば、ベースカラーがベージュの場合、サブカラーに茶色、アクセントカラーに青やピンクを用いると全体に統一感とメリハリが生まれ、洗練されたおしゃれなエクステリアに彩れます。
さらに重要なのが、それぞれの色のバランス(割合)です。ベースカラーやサブカラーが多すぎると霞んだ印象になりますし、アクセントカラーが多すぎると全体のバランスを崩してしまいます。
理想的な割合は、ベースカラーが7割、サブカラーは2割強、残りの1割弱がアクセントカラー。これを守ることで、魅力的な空間にまとまります。
魅力を引き立てるアクセントカラーの使い方
ベースカラーとサブカラーは同系色のため、色選びのイメージがしやすいと思います。これに対して意外と難しいのが、アクセントカラーです。
アクセントカラーはビビットで目立つ色にすることが多く、ベースカラーやサブカラーとは相反する色(補色)にするのが妥当です。ベースカラーが赤やオレンジなどの暖色系であれば、アクセントカラーはブルーやパープルなどの寒色系を選ぶのが一般的。ただし、あまり難しく考えず自分の「好きな色」を選んでもよいでしょう。
また、先述の通りアクセントカラーは割合も重要です。割合が小さいほど、どんな色でもバランスよくまとまります。ポストや立水栓などのワンポイントアイテムに、アクセントカラーを使用するケースも多いです。
ポスト
門柱に飾るタイプや独立式のポストなどにアクセントカラーを用いると、外観が引き締まって見えます。たとえば、外構全体がベージュ系であれば、赤やピンクのポストが映えておしゃれに演出できるのです。
ポストは比較的に取り換えが容易ですから、色が気に入らなかったりバランスが悪かったりしても、交換しやすいのもポイントでしょう。
立水栓
最近の立水栓はおしゃれなデザインも多く見られ、カラーバリエーションも豊富で、庭を彩るアイテムの一つになっています。庭の目立つ場所に立水栓を設置するなら、アクセントカラーを取り入れてもよいでしょう。芝生のなかに設置するなら、赤や青の立水栓だと映えます。
ただし、和風の庭に設置する際は目立つ色が逆効果になることもあります。木目調の立水栓で雰囲気を統一させるようにしましょう。
街並みとの調和も考えよう
エクステリアのカラーコーディネートは、自分の家だけを見て考えれば良いということはありません。周りに多くの建物が建っている場所だと、全体の街並みに合わせて考えることもポイントになります。
とりわけ風致地区では、敷地内の植栽の本数まで定められているところもあるなど、自然や周辺との調和が重視されますので、オリジナリティの強いデザインやカラーが認められない可能性もあります。
こうした条例のない地域だからといって、まわりと違ったカラーで目立たせることで、地域で浮いた存在になるのも問題です。街の景観を崩さないよう、周囲に溶け込むようなカラーコーディネートに考慮するのが、地域に住む一員としての責任といえるでしょう。
まとめ
家に初めて来訪される方の印象はエクステリアで決まる、といっても過言ではありません。それだけに、見栄えを気にしたい場所ですし、カラーコーディネートにもこだわりたいものです。
建物や街の雰囲気にあわせながら、おしゃれなエクステリアに魅せられるようカラーコーディネートを楽しんでみてはいかがでしょうか。