愛車を守るカーポートの選び方
2021.01.08更新
愛車の駐車スペースに、屋根と柱で作られた「カーポート」を設ける方も多いでしょう。カーポートは、強い日差し(紫外線)や風雨から愛車を守るといった機能に加え、玄関前に設置することからデザインにもこだわりたいエクステリアの一つです。
カーポートといっても、さまざまな種類があります。デザインや素材、サイズなど、カーポートを選ぶポイントや、設置する際の注意点などを紹介します。
カーポートの種類
一般的なカーポートの形は、柱で屋根を支える簡易的な造りになっています。ガレージとは異なり、車の横や後ろに壁がないため、乗り降りや荷物の積み降ろしがしやすい点が特徴です。
多様な形状のあるカーポートですが、柱の位置や支え方でわけると「片側支持」「両方支持」「後方支持」などのタイプがあります。どのタイプを選ぶかは、敷地の広さや利用状況などにより変わってきます。
片側支持のカーポート
正面から見て、左右のどちらか一方に柱を設置するタイプ。敷地が狭い土地でも設置でき、車の出し入れもしやすいのが特徴です。2台の車を並べて駐車する場合、真ん中に柱を立て両サイドに屋根を設けるスタイル(Y合掌)もあります。なお、柱の数が少ないため安定性に欠け、地盤状態などによっては設置費用がかかることもあります。
両方支持のカーポート
正面から見て、左右のどちらにも柱があるタイプです。その形状から「M合掌」ともよばれます。両サイドに柱があるため安定性に優れており、土地に余裕があって2台以上の車を並列に駐車したいときに適しています。
後方支持のカーポート
片側支持の柱を、家側(接道の反対側)に設けたタイプです。左右に柱がないため駐車しやすく、また土地の制約も少ないことから、最近の家ではこのタイプが人気です。ただし、基礎工事が複雑なため設置費用がかかるという一面もあります。
屋根のデザインや素材について
屋根の形状は「フラット型」「アール型」の2種類
カーポートの屋根の形状は、「フラット型」と「アール型」の2種類に大別されます。
フラット型は文字通り、直線的なデザインのもの。傾斜をつけて、雨や雪が落ちやすいようにすることも可能です。フラット型はモダンな住まいにマッチし、家のラインに合わせて調和の取れたエクステリアデザインに仕上がります。
これに対してアール型は、ナチュラルな曲線(アーチ)を描いた形状です。ゆるやかなカーブにより、雨や雪が流れやすいのが特徴。ナチュラルテイストの家に調和し、優しい印象を与えます。
屋根の素材は「ポリカーボネート」が一般的
屋根の素材は、「ポリカーボネート」「FRP」「スチール折板」などがあります。このうち、多くのカーポートで採用されているのは「ポリカーボネート」です。紫外線や熱線のカットに優れた素材で、車の色褪せやシートの日焼け、真夏に車内温度の上昇を抑えられるといった特徴が人気ようです。
FRP板は強化プラスチックの一種で、耐久性に優れている点が特徴。またスチール折板は、ガルバリウム鋼板などが用いられ、強風や積雪のある地域で採用されることが多い素材です。
カーポートのサイズの目安は?
カーポートのサイズには、特に規定はありません。車の全長や幅、高さなどのサイズから選ぶこともできますし、駐車する台数に応じて決めることも可能です。
一般的には、駐車台数からサイズを決めることが多いです。1台分の駐車スペースに必要な広さは、奥行きが約5m、間口が約2.5~3mくらい。車のサイズに前後と両側に1m以上の余裕を持たせます。ドアの開き方や接道からの出入りなども考えて、決めましょう。2台分が必要なときは、奥行きか間口のいずれかが倍のサイズになります。
車のサイズで決める場合は、高さがポイント。ワンボックスタイプの車に乗られる方は、特に注意したいところです。車高が高ければカーポートの柱を長くする必要があります。
車は買い替えが容易ですが、カーポートは簡単には変更できません。家族構成やライフスタイルの変化など将来を見据えた上で、カーポートのサイズを決めることも大切です。
駐車のしやすさや近隣も考慮して設置を
カーポートを設置する際には、意外と忘れがちな注意点がいくつかあります。設置後に後悔しないよう、以下の点は確認しておきましょう。
柱が邪魔で駐車しにくくなった
カーポートには必ず柱が設置されます。障害物のないスペースに駐車していた方だと、柱があることで軌道が狭まり、駐車しにくいと感じることもあるようです。特に両方支持のカーポートでは左右に柱がありますから、運転技術に自信がない方には難しいと感じるかもしれません。
この場合、後方支持または片方支持のカーポートを選ぶと良いでしょう。
雨水が流れ込んで近隣トラブルに…
隣家と接するところにカーポートを設置する場合、近隣トラブルになるケースもあるので、設計には注意が必要です。よくあるのが、「カーポートの屋根上にたまった雨水が、隣家の敷地に流れ込む」「カーポートを設置したことで、隣家の日当たりが悪くなった」といったケース。こうしたトラブルが起きないよう、近隣に配慮しながら設置場所や設計を検討することも重要です。
奥行の高さが足りない
駐車スペースのようにコンクリートの敷地では、通常、雨水が流れやすいよう「水勾配」という傾斜を付けています。接道部より家側の方がやや高くなっており、例えば奥行き5mの駐車スペースだと10~15cmくらいの高さの差が生じます。この差を考慮せずにカーポートを設けると、奥に行くほどカーポートの高さが低くなるということになります。
後方支持のカーポートなら問題はありませんが、片方支持や両方支持のカーポートでは意外と見落としがちですから、注意しましょう。
まとめ
カーポートの設置について、「屋根を付けるだけの工事」と考えている方も少なくないようです。しかし、敷地の広さや条件、デザインやサイズ、強度、駐車台数や車のサイズ、将来のライフプラン、近隣への影響など、設置に関していろいろ考えることがあります。
これらの条件が設置工事の費用にも影響してきますから、しっかり検討した上で自分たちに適したカーポートを選びましょう。