介護にも対応したバリアフリーリフォームのすすめ
2017.01.18更新
高齢化が進む今、住宅のバリアフリー化は誰にとっても他人事ではないと言えます。ご家族に介護が必要になったとき、そして自分が高齢化したとき、あなたの家は高齢者の方や要介護者の方をきちんとサポートできるでしょうか? そのときになって慌てて対応するのでは、しっかりしたリフォームはなかなかできません。余裕のあるうちに、バリアフリーリフォームについて考えておきましょう。
バリアフリーリフォームとは
バリアフリーとは、高齢者の方や障がいのある方が生活しやすい住宅にする為に、支障になるものを取り除き、行動を助けてくれるような工夫を加えることです。公共の場所では、エレベーターやエスカレーターを設置したり段差のある場所にはスロープを設けたりして、バリアフリーに対応しています。
ところが65歳以上の高齢者の方を見てみると、外以上に家の中でさまざまな事故にあっています(参考:独立行政法人 国民生活センター「医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故 -高齢者編-」)。外出が減る高齢者の方が特に気をつけるべき場所は家の中であり、特に階段や段差での転倒、転落事故が半数を占めます
だからこそ住宅面でバリアフリーリフォームが必要になるのです。
バリアフリーリフォームの主な内容
家のバリアフリー化は、①行動を妨げる障害をなくす、②動きをサポートする工夫を加える、③気温差をなくす(ヒートショック対策)、この3つのポイントを意識して考えていきましょう。
1:障害をなくす
玄関先やエントランスのスロープ設置
室内ドアを吊戸にしてレールなどの段差をなくす
段差にミニスロープを付ける(または、床の高さを全て同じにする)
屋内通路の幅を広げる(車椅子対応)
玄関ドアを車椅子の入れるサイズに変える(親子ドアなど)
2:動きをサポートする
階段や廊下に手すりをつける
すべりにくい床材にする
階段の踏み面にすべり止めをつける(または階段をかけかえてゆるい勾配にする)
建具の取手を握りやすい形に変える
玄関先に座れる場所を作る
浴室の改良(手すりの設置、すべりにくい床への変更、非常用コールの設置、入り口を引戸にする)
トイレの改良(手すりや非常用コールの設置、足腰に負担の少ない洋式への変更)
3:気温差をなくす(ヒートショック対策)
セントラルヒーティング(または建物全体の断熱工事をする)
床暖房
在来のタイル貼りの浴室から断熱のしっかりしたユニットバスにする
暖房機能付きトイレ
バリアフリーリフォームのポイント
バリアフリー化のためにリフォームする際は、使い勝手にこだわったプランを立てましょう。手すりもただ付ければ良いというものではなく、握りやすさや利き手の位置など、実際の使用感を確かめて設置することが大切です。要支援や要介護の高齢者の方がいる場合は、自力で行きやすいようにトイレや浴室を寝室の近くに配置するなど、介護者、被介護者ともに負担を軽減する工夫も重要になります。
こうしたバリアフリーリフォームには、助成制度や減税制度を利用できることも知っておきましょう。高齢者ご本人や高齢者を介護するご家族が所有する自宅のバリアフリー工事を行う場合、条件を満たせば国や地方公共団体から補助金や交付金を受けることができます。補助や控除を受けるためには、リフォームの内容などいくつかの要件があるので、国や市区町村のウェブサイトなどで確認しましょう。
行動を妨げる障害のないバリアフリー住宅は、高齢者の方だけでなく誰にとっても住みやすく暮らしやすい家です。必要に迫られてのリフォームではなく、誰にでも優しい家にするために、バリアフリーリフォームをぜひ検討してみてください。